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1 (2014-03-31(月) 01:24:38)
#freeze
*太陽とシスコムーン [#ld4ddaf0]
**太陽とシスコムーン LIVE 2009 Last&NewDecade [#mf014acf]
2009年10月4日(日)東京渋谷 club asia P 

komiファンとしては、太陽とシスコムーンを生で見たことがないというのは、なんとも居心地の悪いものだった。しかしそれはタイムマシンが無ければかなわない夢のようなものだと諦めていた。そんなまさかの夢が現実になった瞬間。それは結成から10年の時を超えて復活した幻なのか、それとも次の10年を占う賭けなのか。

太陽とシスコムーンのメンバーのなかで、結成10年をいちばん意識していたのはkomiだった。なにかできたら良いというような事は去年あたりからブログでも書いていたけれど<[[これ>http://kominato.jugem.jp/?month=200810]]>、その頃は現実になるとは誰も考えていなかっただろう。しかし、密かにkomiには確信があったのかもしれない。本当に真剣に願うことは実現するという確信が。

[[club asia P>http://asiap.iflyer.jp/venue/]]は、年齢層も幅広い300名がスタンディングで見守るなか、はじまったライヴ。最初のうちはお互いにどこに焦点を合わせていいのかちょっと探り合いのような雰囲気もあった。すでに大阪と東京の昼公演にも参加していたファンは、最初から熱い盛り上がりだったけれど、久々のファンや私のような初めての参加者にとってはノリのポイントがつかめず、まわりに合わせるのか、ステージに集中するのか中途半端な気持ちもあった。しかし、彼女たちのステージが進むにつれて、そうした迷いはいつのまにか消えてしまった。

背の低い私はステージが見やすいという理由で客席左側のいちばん後ろの階段状になった場所を選んだのだけれど、バランスを崩したら危険であることなどすっかり忘れて、いつのまにか飛び跳ねていた。正直足をくじきそうな瞬間もあった。でも自然に身体が跳ねていたのだ。(バランス感覚はまだ失われていなかったし、筋力もまだまだ大丈夫だということが証明されたわけだ)

komiの歌唱力の素晴らしさはいまさら語るまでもないのだけれど、ソロのときよりも断然はじけた表現で、客席をグイグイと引っ張っていく。毒舌トークも含めて全体をリードしていく姿には、このライヴが実現したことの喜びと、想いが実現したという自信があふれていた。ここはkomiにとってはホームグラウンドなのだ。観客すべてを味方につければ、なんでも「戦い」にしてしまう彼女でさえ、楽しみのほうが勝ってくる。だから舞台も客席に一体になってはじけることができる。ダンスはできないと繰り返し語ってきたkomiが、本当に踊っているのだ。(客観的に見てそのダンスが一流でないことはこの際問題ではないとしよう)

稲葉貴子のダンスはかつての映像と比べても格段にレベルが上がっている、ダンスについてはあっちゅのリードが舞台を締めていたことは間違いない。歌唱力も「太陽」現役時代よりは幅が出ているし、声質が格段に良くなっている。黙って9年を過ごしてきたわけではないことがよくわかる。

あの狭いステージでアクロバットを披露した信田美帆だが。いまや彼女は歌や踊りだけでなく、じつに存在感があるアーティストになっている。かつての舞台を知らない私としてはそれは新鮮な驚きでさえあった。

確かに、歌やダンスを切りとって他と比較すれば、太陽とシスコムーンは決して超一流のグループとは言えないかもしれない。しかし、目の前で見る、というよりもあの空間を共有するという体験を通してわかることは、客席とステージが一体になった場が生み出すチカラだ。これこそがエンターテイメントに真髄、こうした体験をしたいからこそ、人々はアーティストを求めるのだし、アイドルに絶叫するのだ。

かわいいだけのアイドル(アイドルの原点はかわいさだけれど)ではない、でもアイドルの本質に迫ろうとする、きわめて特異なグループだった太陽とシスコムーン。結成わずか1年半で、一定の役割を終えたということで、メンバーの意思ではなく企画側の方針でプロジェクトは解散されてしまった。あれから9年を目前にして、一応アップフロントの主催というかたちではあっても、ほぼ商業ベースとは別の世界で、限りなく手作りの自主公演に近いかたちで実現した復活劇。太陽とシスコムーンを「成仏させる」という言葉に込められた、実に様々な思いとともに、最初で最後の復活劇の幕は降ろされた。

小湊美和が仕掛けたこの復活劇は、実は次の10年へむけての、大きな一歩なのだ。解散から9年、決して思い通りにはいかなかった2ndステージの日々。いまここで原点を確かめあって、絶対に実現したいという強い想いがあれば、夢は実現できるのだということを立証した3人は。こんどこそ太陽とシスコムーンを土台にして、それぞれの舞台に歩むことができるのではないだろうか。