和 (わ)

"和を以て貴しと為す"(やわらかなるをもって とうとしとなす)

聖徳太子の十七条憲法*1の書きだしである。十七条憲法全体を見ると、儒教や仏教の思想が強く感じられるのだが、その根底には「わ」の思想を感じる。

やまとごころの本質には「やわらかなる」という事がある。

日本の事を最初に外国に紹介した、漢朝時代の「漢書」に「倭」とあるのは、「わ」という音を表記したものである。意味的には「倭」というのは差別的でさえあるが、漢字には表音文字が無いのでしかたがない。

後に「倭」よりも「和」のほうが意味的にも良いということで用いられるようになった表記。

  • わ(輪)

やまとことばの「わ」にはいろいろな意味が含まれるが、第一義的には「円形,ring」、転じて人が集っている様子を意味することもある。*2

自らの集団の名前を外国人に問われたときに「わ」という言葉が使われたので、waの音が伝えられたのではないか。

自らの呼称に「ひと」を意味する言葉を用いる民族も多いのに対して興味深い。


*1 この憲法は国政の基本法というような近代憲法ではない、宮中に仕える貴族たちを戒めるための約束事のようなものであった
*2 反対に人が集まることが「わ」で、そこから、そのときの「かたち」の事も意味するようになったと考えることもできるかも